「冷たいコーヒー」と言えば、多くの人がアイスコーヒーを想像するでしょう。
しかし、最近のカフェのメニューには「水出しコーヒー」もよく見られます。
これらは似ているようでいて、実は異なる特徴を持っています。
ここではその違いを詳しく説明します。
アイスコーヒーと水出しコーヒーは別物
アイスコーヒーと水出しコーヒーが同じと思っている人も少なくありませんが、実際には重要な違いが存在します。
ここでそれぞれの特徴を探ってみましょう。
アイスコーヒーとは何か?
アイスコーヒーは冷たくして飲むコーヒーの総称です。
カフェではアイスコーヒーと一口に言っても、「水出しコーヒー」と「急冷式アイスコーヒー」の二種類があります。
急冷式アイスコーヒーは、熱いコーヒーを急速に冷却して作る伝統的な方法で、一般的に広く知られている製法です。
アイスコーヒーの起源
伝統的にはホットで楽しまれてきたコーヒーですが、1840年代にはすでにアルジェリアでホットコーヒーを冷やして飲む習慣がありました。
この時期、アルジェリアはフランスの植民地で、この飲み方はフランス人にも取り入れられましたが、広まるには至りませんでした。
1920年代に入るとアメリカで夏のコーヒー消費減少を食い止めるため、冷たいコーヒーが推奨され、次第に受け入れられていきました。
このスタイルは大手企業によって商品化され、広く普及しました。
一方、日本では1891年の明治時代から「氷コーヒー」というメニューが記録されており、大正時代にはカフェで一般的に提供されるようになりました。
「冷やしコーヒー」や「冷コー(レイコー)」とも称され、キュウリやスイカを冷やすという日本の夏の慣習と合わさり、迅速に広まりました。
また、コーヒーが薄まることを防ぐためにドリップコーヒーを瓶に入れて冷やす方法も考案され、これが日本発のアイスコーヒーの起源とされています。
水出しコーヒーの特徴と方法
一般にアイスコーヒーはホットコーヒーを冷やして作ることが多いですが、水出しコーヒーはそれとは異なる製法です。
この製法について詳しくご説明しましょう。
アイスコーヒーの別の製法
水出しコーヒーは、名前の通り、冷たい水を使ってコーヒー豆から直接抽出する方法です。
この抽出法は「ダッチコーヒー」や「コールドブリュー」とも称されます。
お茶を淹れる感覚で手軽に試すことができ、専用の器具も販売されています。そのため、水出しコーヒーの愛好家は増加傾向にあります。
カフェでは氷を入れたグラスに注がれることが多いため、見た目が似ていることからドリップコーヒーと同じものと誤解されがちです。
水出しコーヒーの発祥はオランダ領インドネシアで栽培されていた「ロブスタ種」のコーヒー豆にあります。
この豆は特有の苦味が特徴で、熱い水で淹れると飲みにくいため、冷たい水で抽出する技術が生まれました。
この方法により、苦味が抑えられ、よりマイルドな味わいになることから、世界中で広く受け入れられています。
水出しコーヒーの魅力と風味
熱湯を用いるドリップコーヒーと違って、水出しコーヒーはコーヒー豆の油分が少なく抽出されます。
これにより、味わいはすっきりとしており、コーヒー本来の苦味や酸味が穏やかになり、マイルドな風味が楽しめます。
暑い季節に冷たくして飲むのに適しており、品質の劣る豆もおいしく飲めることがあります。
さらに、油分が少ないため酸化しにくく、保存しても味が落ちにくいというメリットがあります。
水出しコーヒーの作り方
【必要な材料】
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深煎りの中挽きレギュラーコーヒー100g
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水1リットル
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ティーバッグまたはだしパック
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ピッチャーや大容量の容器
【作り方】
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コーヒー粉をティーバッグやだしパックに入れ、コーヒーパックを準備します。
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ピッチャーにコーヒーパックを入れ、水を1リットル注ぎます。
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冷蔵庫で約8時間寝かせます。この間、コーヒーの成分がゆっくりと水に溶け出します。
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寝かせた後、コーヒーパックを取り出すと、クリアでマイルドな味わいの水出しコーヒーが完成します。
アイスコーヒーの抽出法:水出しとドリップ、どちらがおすすめ?
アイスコーヒーをどの方法で抽出するかは、好みによって異なります。
水出しとドリップ、それぞれに長所と短所がありますので、各方法の特性を理解し、状況に合わせて選ぶことが重要です。
水出し法とドリップ法の主な違い
味と香り
水出し法では、コーヒーの苦味や酸味が和らぎ、さわやかな口当たりが特徴です。
一方で、ドリップ法はコーヒー豆のフレーバーをダイレクトに引き出し、豊かな味わいを楽しめます。
どちらを選ぶかは、あなたの好み次第です。 ホットコーヒーと違い、アイスコーヒーは氷を加えて急速に冷やすため、氷が味を薄めることを考慮する必要があります。
抽出時間
水出しコーヒーはゆっくりと時間をかけて抽出するため、完成には約8時間かかります。
対して、ドリップ法は適切な器具があればすぐに抽出でき、即座に氷で冷やすことが可能です。
突然コーヒーが飲みたくなったときには、ドリップ法が便利です。
賞味期限
水出しコーヒーは完成後、風味が落ちにくく約3日間は保存が可能です。これは抽出時の油分が少ないためです。
一方、ドリップコーヒーは時間が経つにつれて酸味が増し、風味が落ちるため、できたらすぐに飲むのが理想です。
保存が必要な場合は、都度新鮮に淹れることがおすすめです。
繊細な風味が好みなら、水出しコーヒーをお試しを
風味が柔らかく、味わいが繊細なアイスコーヒーがお好みの方には水出し法が最適です。
特に、味が強すぎると感じる豆に対しても、水出し法では苦味を抑えつつ、より滑らかでまろやかな味わいに仕上がります。
日常的にアイスコーヒーを飲む場合には、一度にたくさん作っておくととても便利です。
深みのあるコーヒーを求めるならドリップが最適
こだわりのコーヒー豆を使用している方には、ドリップ法でアイスコーヒーを作ることをお勧めします。
この方法は、コーヒー豆の本来の風味を引き出し、豊かな味わいを実現します。
氷で薄まることを考慮して少し濃いめに抽出することがポイントです。
アイスコーヒーに適した深煎りの豆を選べば、さらに満足のいく風味を楽しむことができます。
アイスコーヒーの味は作り方によって変わる
アイスコーヒーには、冷水で抽出する方法と熱湯でドリップしてから冷ます方法という、2つの主な作り方があります。
どちらの方法でもアイスコーヒーを作ることは可能ですが、味わいや賞味期限、準備にかかる時間に違いが生じます。
冷水抽出で作ったアイスコーヒーは、なめらかで柔らかい風味が特徴で、すっきりとした後味が楽しめます。
一方で、熱湯を使用して抽出し、その後急速に冷やしたドリップコーヒーは、より濃厚で深みのある味わいが魅力です。
お好みやシチュエーションに合わせて、最適な方法を選んで、理想のアイスコーヒーを楽しんでみてください。